ポジティブ思考の落とし穴。悲観とリスク管理の明確な違い
おはようございます!
一緒にやり抜く限界突破パートナー、福井俊治(しゅんじ)です。
本日は、私たちがビジネスやプロジェクトを前に進めていく上で欠かせない、未来への備え方についてお伝えさせて下さい。
テーマは、「ネガティブな思考」と「リスク管理」の明確な違いと、見えない課題にどう向き合うかについてです。
世の中のビジネス書や自己啓発の分野では、「ポジティブ思考の方がものごとが上手くいく」という考え方が広く浸透しています。
手に入れたい素晴らしい未来だけを鮮明に夢見て、それに向かって一直線に突き進む。
ネガティブなことは一切考えず、ポジティブに在りたい未来のみを思い描くべきだというトーンで語られる方もたくさんいらっしゃいます。
目標達成において、前向きなエネルギーを持つことは間違いなくプラスに働きます。
しかし、そうしたポジティブ思考が推奨されすぎている影響もあるのでしょうか。
ビジネスの現場において、ネガティブな側面に目を向けることを極端に嫌がるリーダーや経営者の方にお会いすることがあります。
少しでも懸念点やリスクを口にすると、「そんな後ろ向きなことを考えるな」とシャットアウトしてしまう状態です。
それは果たして、本当に良いことなのだろうか。
単に、都合の悪い事実に対して、臭いものにふたをしているだけなのではないかと感じてしまう部分があります。
実際、自分と同じようにプロジェクトのマネジメント支援をされている方からお聞きした話の中で、非常に衝撃的なエピソードがありました。
前提として、プロジェクトを進める上で計画を立て、その計画に基づいてマネジメントを行うことは必須のアプローチです。
そのマネジメントのプロセスには、大きく分けて二つの視点が存在します。
一つ目は、「すでに発生している事象」に対する課題解決です。
計画通りに進まない問題が目の前で起きた時に、その原因を特定し、正常な状態に戻すためのリカバリーを図る。
これはどちらかというと、過去から現在にかけて発生した事象に対応するパターンです。
そしてもう一つ重要なのが、「未来に発生するかも知れない事象」に対応するパターンです。
現在の状況や過去のデータ、あるいは外部環境の変化などを客観的視点で踏まえ、「このまま進むと、未来にこんな問題が発生するかも知れない」と予見すること。
そして、その予見した状況に対して、事前に発生しないような予防策を打ったり、最悪のケースとして発生してしまった時にどう動くかのプラン(コンティンジェンシープラン)を先回りして検討しておく。
要するに、これが「リスク管理」と呼ばれるものです。
プロジェクトマネジメントの世界においては、ごくごく普通に考えられ、実行される基本動作です。
しかし、この「リスクに目を向ける」という論理的な行為が、伝え方や受け取る相手のスタンスによっては、全く想定外の結果を導くことがあるようです。
先のマネジメント支援をされている方の話によると、あるプロジェクトにおいて、状況を客観的に分析し、今後起こりうるリスクを予測したそうです。
そして、そのリスクに対する具体的な打ち手を、改善提案としてプロジェクトの管理者に提出しました。
推進支援のプロとして、当然の責務を果たしたと言えます。
ところが、結論から言うと、その提案は管理者によって却下されてしまったとのことでした。
その却下の理由というのが、非常に考えさせられるものでした。
指摘したリスクに対して、「物事の捉え方が悲観的過ぎる」というフィードバックだったそうです。
管理者の言い分としては、「実際には起こらないであろう悲観的なシナリオに対して、わざわざ打ち手を検討する興味も時間もない」という話でした。
この状況は、完全にプロジェクトの良くない面(見たくない現実)に目を向けない、典型的な失敗パターンです。
なぜ、人はリスクの指摘を「悲観的だ」と退けてしまうのでしょうか。
特に、強い思いを持って自ら事業を立ち上げられた方や、重圧の中で組織を引っ張っているリーダーほど、自分が描いたビジョンを守りたいという心理が強く働きます。
日々プレッシャーと戦っている中で、まだ起きてもいない未来のトラブルを突きつけられると、まるで自分の計画やビジョンそのものを否定されたかのように感じてしまうことがあるようです。
そのため、無意識のうちに防衛本能が働き、「もっと前向きに行こう」というポジティブな言葉を使って、不都合な事実を遠ざけようとしてしまいます。
しかし、発生しうるリスクを客観的に検討する行為が、単なる「悲観的な考え方(ネガティブ思考)」として片付けられてしまうと、現場からはもう何も言えなくなってしまいます。
心理的安全性が失われ、本当に致命的な問題が起きた時には、もう手遅れになっているという状態です。
もちろん、その管理者がプロジェクトの実態をどこまで深く把握されていたかは分かりません。
もしかすると、全体を非常によく見通せており、「プロの目から見ても、そのリスクが実際に発生する可能性はほぼゼロに近い」という確固たる根拠があったのかも知れません。
しかし、仮にそうだとしても、マネジメント支援のメンバーが客観的視点で挙げてきたリスクに対しては、プロジェクトのリスク管理表に「発生確度:低」として記載し、モニタリングの対象として管理すればいいだけの話です。
少なくとも、現場から上がってきたリスクの芽を、悲観的だという理由でそのまま放置するのは、プロジェクト管理者として少し甘いのではないかと思わざるを得ません。
ひとり社長や、事業を承継された二代目社長のみなさんも、ご自身のビジネスにおいて、似たような状況に陥っていないでしょうか。
「悲観的過ぎる」という理由で、あえてネガティブな要素から目を背けていないか。
あるいは、発生確度は低くても、万が一事業の存続に関わるようなリスクであれば、しっかりと管理の対象として可視化できているか。
ぜひ一度、ご自身のビジネスの中で考えてみて頂ければと思います。
例えば、スモールビジネスにおいて「現在の売上の8割を占める大口顧客からの発注が、突然半分になったらどうするか」というリスクを考えることは、決してネガティブなことではありません。
それは悲観的な妄想ではなく、客観的な事実に基づいた事業継続のためのシミュレーションです。
そのリスクを直視するからこそ、「今のうちに別の収益の柱を育てておこう」とか「新規顧客の開拓に週に2時間は必ず投資しよう」といった、具体的で前向きな次のアクションが生まれるのです。
確かに、リスク管理を緻密に行うことには、相応の管理コスト(時間や労力)が掛かることも事実です。
世の中に存在するあらゆるリスクを、何でもかんでもリストアップして管理しようとするのは、現実的ではありませんし、意味がないと思います。
完璧を求めて足が止まってしまっては、本末転倒だからです。
大切なのは、自分たちのビジネスにおいて「どこまでをリスクとして管理し、どこから先は楽観的に許容するのか」という基準を明確にすることです。
チームで動いているのであれば、プロジェクトの関係者間でそのレベル合わせを事前に行っておくことが不可欠です。
一人で事業を営んでいる方であれば、ご自身の内面で「致命傷にならないリスクは受け入れるが、ここだけは死守する」という明確なラインを引いておくことです。
リスク管理とは、決してネガティブな悲観主義ではありません。
むしろ、最悪の事態を想定し、それに備える手立てを持っているからこそ、心からの安心感を持って、目の前の目標(プライム・ミッション)に全力で向かっていくことができるのです。
本当の意味でのポジティブ思考とは、リスクから目を背けることではなく、リスクをコントロール下においた上で生まれる「自信」のことではないかと考えます。
いざ問題が起こってから慌てふためいたり、後悔したりすることがないように。
しっかりとリスク管理のレベル感の合意を取り、運用としてやるべきことを淡々と徹底する。
その地に足の着いたアプローチを、ぜひご自身のビジネスにも取り入れてみて下さい。
今日も一緒にやり抜きましょう!
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