目標達成に向けて 頭の中の「もう一人の自分」を育てる方法
おはようございます。!
一緒にやり抜くマネジメントコーチ、福井俊治(しゅんじ)です。
「今年こそは」と立てた目標。手帳に書き出したあの瞬間は、確かに熱い気持ちがあったはず。それなのに、いつの間にか日々のタスクに埋もれ、目標は輝きを失い、心は重くなっていく…。
そんな経験は、ありませんか?
それは、あなたの意志が弱いからでも、情熱が足りないからでもありません。実は、私たち人間が、本質的に「自分のことを、客観的に見るのが苦手」な生き物だからなのです。
私たちは皆、自分自身の思考という、良くも悪くも「慣れ親しんだ部屋」の中に住んでいます。その部屋から見える景色が、いつしか世界のすべてであるかのように感じてしまう。これが、一人で考えることの大きな「罠」です。
目標達成のプロセスは、よく旅に例えられます。旅を成功させるには、論理的な手順を踏むことが欠かせません。
- 目的地を決める(どこに行きたいのか)
- 現在地を把握する(自分は今、どこにいるのか)
- ルート上の障害物を知る(どんな問題が待ち受けているか)
- どのルートで行くか決める(全体の方針)
- 最初の一歩を踏み出す(具体的なアクション)
- 歩み続ける(実行と継続)
このプロセスを、たった一人で、自分の頭の中だけで完結させようとすると、どうなるでしょう。 「目的地」は、いつの間にか「今から行ける範囲の場所」にすり替わり、「現在地」の把握は「こうであってほしい」という願望に歪められがちです。自分の思い込みや過去の失敗体験が、無意識のうちに思考の「癖」となり、客観的な判断を曇らせてしまうのです。
では、どうすればこの「思考の罠」から抜け出せるのでしょうか。 その答えは、非常にシンプルです。「客観的な視点」を、意図的に取り入れること。 それは、信頼できる上司や友人かもしれません。あるいは、同じ志を持つ仲間かもしれません。そして、時には「もう一人の客観的な自分」を、自分の中に育てることでもあります。
もし、あなたの思考を客観的に聞いてくれる「壁打ち相手」がいたら、こんな対話が生まれるかもしれません。
「あなたが本当に見たい『最高の景色』って、どんな景色ですか?」
「その頂から見下ろした時、今のあなたの立ち位置は、どう見えますか?」
「その景色にたどり着くまでに、一番険しいと感じる道のりはどこでしょう?」
こうした問いを投げかけられることで、私たちは初めて、自分の思考の「外側」に出ることができます。自分では当たり前だと思っていた前提を疑い、一人では見つけられなかった選択肢に気づくことができるのです。
F1の世界でも、ドライバーは決して一人では戦いません。彼の手元には、マシンの挙動やタイヤの感触といった「主観的な情報」があります。一方で、ピットのピットウォールという指令所には、全マシンの位置、ラップタイム、天候といった膨大な「客観的なデータ」が集まります。
勝利は、この主観と客観が、無線を通じて対話し、融合することで初めて生まれます。ピットウォールの役割は、ドライバーに命令することではなく、ドライバーが見えていない「もう一つの景色」を提供することなのです。
私たちの目標達成も、全く同じです。 必要なのは、強力なリーダーシップであなたを引っ張る存在ではありません。あなたが見ている景色を尊重しながら、あなたが見えていない「もう一つの景色」を、冷静に、誠実に、見せてくれる存在です。
もし今、あなたが目標達成の道のりで迷子になっていると感じるなら、それはあなたが道に迷いやすいのではなく、ただ「一枚の地図」だけで、広大な山を歩こうとしているだけなのかもしれません。
大切なのは、自分を客観視するための「仕組み」を持つことです。 それは、週に一度、自分の行動を冷静に振り返る時間を設けることかもしれません。信頼できる誰かに、定期的に進捗を話してみることかもしれません。
どんな方法でも構いません。 たった一人で考え込むことから、自分を解放してあげる。 それこそが、遠く霞んでいた目標への道を、再びクリアに照らし出す、最も確実な一歩となるはずです。
今日も一緒にやり抜きましょう!
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