「精度」を高めてから「効率」を上げるという絶対的な順序
おはようございます!
一緒にやり抜く限界突破パートナー、福井俊治(しゅんじ)です。
今日は、世の中で非常によく耳にする「自動化」というテーマについて、お話しさせて頂ければと思います。
最近は、DX(デジタルトランスフォーメーション)や生成AIの進化もあり、自動化を意識して動いている方も多いと思います。
面倒な作業はツールに任せて、人間は楽をしよう、あるいはより創造的なことに時間を使おうという感じですね。
この方向性自体は、自分も大賛成ですし、素晴らしいことだと思います。
しかし、ここで気を付けないといけない一つの落とし穴があります。
自分は、これを「自動化の罠」と呼んでいます。
結論から言うと、「手動で成果が出る方法(勝ちパターン)が見つかる前に、自動化してはいけない」ということです。
ここには、「精度」と「効率」という、二つの観点が深く関わっています。
今日は、なぜ焦って自動化してはいけないのか、その理由と、正しい手順についてお伝えしたいと思います。
まず、多くの方が陥りがちな失敗パターンについて共有させて下さい。
何か新しいプロジェクトや業務を始める時に、いきなり「どんなツールを使えば楽ができるか」「どうすれば自動化できるか」から入ってしまうパターンです。
「この最新のツールを使えば、SNSのフォロワーを増やせるはずだ」
「このタスク管理ツールを導入すれば、プロジェクト管理が容易になるはずだ」
そんな風に、ツールやシステムに過度な期待を抱いてしまっているパターンです。
しかし、現実はそんなに甘くありません。
高機能なツールを入れても、結局使いこなせなかったり、期待した効果が出せなかったり…
結局、高いコストを払って導入したシステムが、誰も使わない「デジタルな粗大ゴミ」になってしまう場合もあります。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、「目的に対して、その手段が正しいか、妥当か」という判断が抜けたまま、プロセスを固定化(自動化)してしまったからです。
ここで重要になるのが、「精度」を高める観点と、「効率」を高める観点の違いです。
ビジネスにおいて、まず最初にやるべきは「精度」を高めることです。
つまり、「このやり方をすれば成果が出る(可能性が高い)」という正解ルートを見つける作業です。
これは、地図もないジャングルの中で、ゴールへの道を切り拓くようなものです。
この段階で必要なのは、最新のスポーツカー(自動化ツール)ではなく、自分の足で歩き、ナタを振るって道を作る(手動での試行錯誤)という泥臭いプロセスです。
例えば、みなさんも取り組まれているかもしれない「SNSでの情報発信」を例に考えてみましょう。
ここでの目的は「自分の想いや価値観に共感してくれる仲間(フォロワー)を増やすこと」だとします。
この目的に対して、「どんな言葉選びなら共感されるか」「どんなテーマなら反応があるか」という手段の妥当性を検証しなければなりません。
これが精度を高めるフェーズです。
この段階では、絶対に手動であるべきです。
投稿予約ツールやAIに丸投げするのではなく、自分の指でPCを操作し、自分の言葉で投稿し、頂いたコメントに熱量を持って返信する。
そうすると、肌感覚で色々なことが見えてきます。
「こういう熱い書き方だと反応がいいな」
「逆に、教科書的な正論はスルーされるな」
「この時間帯は読んでくれている人が多いな」
このように、手動でやるからこそ、相手の反応の機微や、コミュニケーションの温度感にも気付くことができます。
確かに、手間は掛かります。
そして、面倒くさいです。
しかし、この面倒くさい手作業の中に正解のヒントが落ちているのです。
そうやって試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返し、「あ、このパターンなら確実に共感が生まれる」という「勝ちパターン」が見つかった時。
つまり、発信内容やコミュニケーション手段の「精度」が十分に高まった時。
そこで初めて、「じゃあ、この勝ちパターンの投稿の一部を予約ツールに任せてみよう」とか「返信漏れがないように管理ツールを入れよう」と考えるのが、正しい順序です。
これが「効率を高める」フェーズです。
自動化というのは、あくまで「決まった手順を、高速かつ正確に繰り返すこと」に過ぎません。
手動で10人に届いて、10人が感動する方法(精度の高い手段)が見つかれば、それを自動化して1000人に届ければ、1000人が感動してくれます。
これが、自動化による正しいレバレッジ(てこの原理)です。
しかし、もし精度が低いまま、つまり「誰の心にも響かないつまらない投稿」を自動化してしまったらどうなるでしょうか。
それは、ノイズ(騒音)を高速で大量生産することに他なりません。
つまらない投稿を一つするだけならダメージは少ないですが、自動化して毎日大量に垂れ流してしまったら、それは「あの人は機械的でつまらない」というレッテルを貼られる大事故に繋がります。
精度の低い業務フローをそのままシステム化しても、低い精度のまま高速化されるだけで、根本的な解決にはなりません。
ビル・ゲイツもかつて言っていたそうです。
「効率的な業務に自動化を適用すれば、効率は増幅される。しかし、非効率な業務に自動化を適用すれば、非効率が増幅されるだけだ」と。
まさに、この言葉通りなのです。
自動化する前に、その業務が何で構成されているのかを分解し、無駄なものを削ぎ落とし、誰がやっても(あるいは機械がやっても)同じ結果が出るように標準化する。
この下準備が、重要であり、かつ最も頭を使う部分です。
実は、この標準化のプロセスを経るだけで、ツールを導入しなくても業務時間が半分になったりすることもよくあります。
無駄な業務を自動化するのではなく、そもそも「やめる」という選択肢が見えてくるからです。
また、手動でやるべきもう一つの理由は、「例外」を知るためです。
ビジネスや人間関係において、100%マニュアル通りにいくことは稀です。
必ず「例外」や「イレギュラー」が発生します。
SNSの例で言えば、予期せぬ批判的なコメントが来たり、想定外の相談がDMで来たりすることもあるでしょう。
手動で対応していれば、「こういう時は丁寧にこう返そう」「これはスルーでいい」と柔軟に対応できますが、早々に自動化してしまうと、この例外に対応できず、炎上したり、信頼を損なったりしてしまいます。
手動の期間に、どれだけ多くの例外パターンを経験し、それに対する対処法(分岐ルール)を自分の中に蓄積できるか。
それが、将来構築する自動化システムの「頑丈さ」に直結します。
自分の中で、「こういう時はA、ああいう時はB」というロジックが完全に整理され、ハラ落ちしている状態。
そこまで行って初めて、システムという部下に「あとは頼んだよ」と任せることができるのです。
ここで、改めてご自身に問い掛けて頂きたいことがあります。
それは、「そもそも、何のために自動化するのか?」という目的の部分です。
自動化はあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。
楽をすることが目的ではなく、それによって生まれた時間やエネルギーを、人間にしかできない「付加価値の高い活動」に再投資することが本来の目的のはずです。
例えば、投稿作業を自動化して浮いた時間で、大切なフォロワーさんとじっくり対話をする。
事務作業を自動化して浮いた時間で、最高のコンテンツを作るためのインプットをする。
あるいは、家族との時間を大切にして、自分の英気を養う。
そういった、人生やビジネスを豊かにするための手段としての自動化であることを忘れてはいけません。
たまに、自動化の仕組みを作ること自体が楽しくなってしまって、複雑なピタゴラスイッチのようなシステムを構築することに熱中してしまう方がいます。
(エンジニア気質の方だと、気持ちは痛いほど分かりますが…)
しかし、そのメンテナンスに時間を取られていては本末転倒です。
あくまで、成果を最大化するためのツールとして、冷静に付き合う必要があります。
もし、今みなさんが何かを効率化したい、自動化したいと考えているなら、一度立ち止まってみて下さい。
その業務において、自分なりの「必勝法」や「勝ちパターン」は確立されているでしょうか。
つまり、その手段の「精度」は十分に高いと言えるでしょうか。
もし、まだやり方が定まっていなかったり、手動でやってみて成果が出ていなかったりするのであれば、まずは泥臭く、手作業で汗をかいてみることをおススメします。
遠回りに見えるかもしれませんが、それが最短ルートです。
自分自身の手で触れて、感じて、改善して、磨き上げられた「精度の高いプロセス」だけが、自動化によって本来の効率を発揮することができます。
0(ゼロ)に何を掛けても0ですが、確実な1(イチ)を作り出せれば、それは自動化によって100にも1000にもなります。
まずは、その確実な「1」を、自分の手で作るところから始めましょう。
みなさんのその泥臭い努力が、やがて大きなレバレッジとなって返ってくることを信じています。
今日も一緒にやり抜きましょう!
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