「何でも屋」は結局「何もできない屋」になりかねない
おはようございます。
一緒にやり抜く限界突破パートナー、福井俊治(しゅんじ)です。
今日は、ビジネスにおける「メニュー構成」という少しマーケティング寄りなテーマについて、自分の考えをお伝えさせて頂ければと思います。
みなさんは、昔ながらの大衆食堂に行かれたことはあるでしょうか。
壁一面にずらりと貼られた短冊状のメニュー。
カツ丼、ラーメン、カレーライスから、サバの味噌煮、ハムエッグ、さらにはオムライスまで。
「和洋中、何でもござれ」というあの圧倒的なラインナップを見ると、なんだかワクワクしますし、お店の懐の深さを感じて頼もしく思うこともあります。
あれも食べたい、これも食べたいと迷う時間すら、食事の楽しみの一部と言えるかもしれません。
しかし、これを自分のような個人、あるいは小規模でビジネスをしている人間が真似をするべきかというと、「否」だと考えています。
今日は、なぜ大衆食堂のような大量のサービスメニューを持つことが、自分のようなビジネスの目標達成や成長において足かせになり得るのか、その理由と対策について考えを共有させて頂ければと思います。
まず、なぜ多くのメニューを持つことが問題なのでしょうか。
一見すると、メニューがたくさんあるということは、それだけ多くの顧客のニーズに応えられるということであり、機会損失を防げるように思えるかもしれません。
「あれもできます」「これもできます」と言っておけば、誰かしらが何かしらの依頼をしてくれるのではないか。
起業を考えていた当時の自分も、そんな風に考えていた時期もありました。
不安だからこそ、手持ちのカードを全てテーブルの上に並べておきたくなるのです。
しかし、これは買い手であるクライアントの視点に立つと、全く逆の印象を与えてしまっていることに気づかされます。
想像してみて下さい。
あなたが「今日は無性に美味しいラーメンが食べたい」と思った時、次のどちらのお店を選ぶでしょうか。
一つは、入り口に「ラーメン、うどん、そば、パスタ、カレー、寿司、何でもあります」と書いてあるお店。
もう一つは、のれんに「中華そば一筋 30年」と書いてあるお店。
おそらく、ほとんどの方が後者を選ぶのではないでしょうか。
前者の「何でもあります」というメッセージは、裏を返せば「どれもそこそこの味です」「これといった看板商品はありません」と言っているように聞こえてしまうのです。
ビジネスにおいても全く同じことが言えます。
「コンサルティングもできます」「Web制作もできます」「ライティングもできます」「営業代行もやります」。
このように大量のメニューを提示されたクライアントは、「で、結局あなたは何の専門家なのですか?」と困惑し、結果として「頼む理由」を見つけられなくなってしまいます。
「何でもできる」は「何もできない」と同義に受け取られかねないというリスクを、強く認識しておく必要があります。
また、提供する側にとっても、メニューが多すぎることはリソースの分散を招きます。
大衆食堂のように、それを支えるだけの厨房設備やスタッフ、そして長年の経験があれば別ですが、限られたリソースで戦う自分たちのようなビジネスでは全てのメニューで高いクオリティを維持し続けることは至難の業です。
あれもこれもと手を広げ過ぎると、一つひとつのサービスの磨き込みが甘くなり、結果としてどのお客様にも「可もなく不可もなく」という感動のないサービスを提供することになってしまいます。
これでは、リピートにも繋がりませんし、口コミも生まれません。
目標達成の観点から言えば、エネルギーが分散し、一点突破の力が失われている状態です。
以前、戦艦の主砲のたとえ話でお伝えしたように、狙いを定めて弾道修正を繰り返すことで命中精度は上がりますが、あちこちに乱れ打ちしていては、いつまで経っても成果というターゲットには当たらないのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
答えはシンプルです。
「勇気を持ってメニューを絞る」ことです。
大衆食堂ではなく、行列のできる「専門店」を目指すのです。
「私は〇〇の専門家です」
「あなたに提供できる価値は〇〇です」
このように、入り口となる看板メニューを一つ、あるいは絞り込んだ数点に限定することで、顧客はあなたを選ぶ理由を明確に理解できるようになります。
自分の場合であれば、「棚上げプロジェクト完遂コーチング」という看板メニューを掲げています。
もちろん、その周辺には様々なスキルや経験がありますが、まずは「プロジェクトを完遂させたい人」に向けて、その一点を尖らせて提示しています。
そうすることで、「プロジェクトが停滞して困っているなら、この人に相談しよう」という明確な認知を持って頂けると考えるからです。
ここで一つ、懸念されることがあるかもしれません。
「メニューを絞ったら、それ以外の仕事が来なくなって売上が下がるのではないか」と。
確かに、入り口を絞ることで、対象外のお客様は来なくなるかもしれません。
しかし、それは「ミスマッチを防げた」とポジティブに捉えるべきです。
そして、ここからが重要なのですが、メニューを絞るということは、決して「それ以外のことをやってはいけない」という意味ではありません。
ここで登場するのが、大衆食堂の良さを取り入れた「裏メニュー」という考え方です。
常連さんが「大将、今日はちょっと胃が疲れてるから、メニューにないけどお粥作ってくれない?」と頼むと、「あいよ」と言ってさっと作ってくれる。
ビジネスにおいても、この形が有効だと考えています。
まずは、絞り込んだ「看板メニュー(専門分野)」でクライアントとの信頼関係を構築する。
そして、信頼関係ができあがった後で、クライアントの目標達成のために必要であれば、「実はこんなこともできますよ」と、柔軟に対応する。
これが「裏メニュー」です。
例えば、自分の場合、コーチングがメイン商品ですが、クライアントからの要望があれば、プロジェクトマネージャーの経験を活かして、会議のファシリテーションも請け負いますし、月次報告書の作成も代行したことがあります。
しかし、これらを最初から「表のメニュー」として並べてしまうと、何屋さんか分からなくなってしまいます。
あくまで、入り口は専門店。
しかし、中に入って信頼関係を築けば、クライアントの成功のために持てるリソースをフル活用して何でもやる。
この「専門店」と「大衆食堂(対応力)」の使い分けこそが、個人のビジネスにおいては最強の戦略ではないかと考えています。
自分の持っているスキルや経験を全てメニューに載せたくなる気持ちは、非常によく分かります。
それは、自分ができることを表現したいという承認欲求や、機会を逃したくないという不安の裏返しでもあります。
しかし、本当に自信があるならば、たった一つの「最高の一皿」で勝負できるはずです。
そして、その一皿を食べて感動して下さったお客様は、きっとあなたのファンになり、その後も長くお付き合いして頂ける関係になることでしょう。
あなたのビジネスの「メニュー表」は、今どうなっているでしょうか。
あれもこれもと詰め込みすぎて、お客様を迷わせてしまってはいないでしょうか。
一度、客観的な視点(評論家の視点)で、自分のメニューを見直してみて下さい。
そして、本当に自信を持って提供できる、あなたの魂のこもった「看板メニュー」は何なのか、自問してみて頂ければと思います。
絞ることは、捨てることではありません。
磨くことです。
勇気を持ってメニューを絞り、その分、一つひとつの質を極限まで高めていく。
そんなプロフェッショナルとしての「在り方」が、結果として、あなたの目標達成を加速させてくれるはずです。
もし、自分の看板メニューが何なのか分からない、絞りきれないという方がいらっしゃいましたら、壁打ち相手になりますので、いつでもお声がけ下さい。
一緒に、あなただけの「最高の一皿」を見つけ出しましょう。
今日も一緒にやり抜きましょう!
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